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新番組『ザ・コンテンポラリー』の第23回、お楽しみいいただけたでしょうか。今回は、<「第九」の真髄を楽しむ聴き方!>講座vol.2としてお届けしました。前回のvol.1と合わせて、「第九」の全曲にわたるベートーヴェンによる周到な設計意図をわかった上で、この作品を聴く、楽しむということをお分かりいただけたと思います。
第1楽章の冒頭の序奏に導き出されて掴み取る第一主題で強調される順次進行(二度進行)三つの音の並び(動機)が、第二主題の素材にもなり、そして第2楽章スケルツォの主部のソナタ形式の第一主題と第二主題も、更には中間部トリオの主題も、順次進行三つの音型(動機)を活用したものです。続く第3楽章、緩徐楽章の主要主題や副主題も、順次進行三つの並びの音型(動機)を材料として生み出された旋律になっています。
ここまで約40分、周到に設計された順次進行三つ並びの動機が聴き手の潜在意識に染み付いた後に、遂に第4楽章、終楽章のあの“歓喜の歌”に到達するのです。”歓喜の歌”による変奏曲と協奏曲風ソナタ形式の構成を融合して構築した前半部に、対立要素が付与されて、最終的に“歓喜の歌”と対立要素が共同作業を遂げて、人類博愛の理念を音楽で実現している、そういう壮大で崇高な作品なのです。
今年の年末も、全国各地でさまざまなオーケストラが、数多くの「第九」の演奏会を予定しています。「第九」の真髄を楽しむ聴き方を実践して、より深くより楽しく「第九」を鑑賞していただけると、私としてもとても嬉しく思います。
この2回連続シリーズでお聴きいただいた「第九」の演奏の情報は次の通りです。
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲/交響曲第9番 ニ短調 作品125
管弦楽:ニコラウス・エステルハージ・シンフォニア&合唱団/指揮:ベーラ・ドラホシュ
独唱:ハスミク・パピアン (sop.) ルクサンドラ・ドノーゼ(mez-sop.) マンフレッド・フィンク(ten.) クラウディオ・オテリ(bas-bar.)
それから、第23回 vol.2 の番組の最後に時間の余裕がありましたので、ベートーヴェン作曲/「レオノーレ」序曲第3番 作品72a を聴きながらお別れとしました。
私=松尾祐孝のブログの中の参考記事を全楽章分のリンクを再掲載しておきましょう。
ベートーヴェン《交響曲第9番ニ短調》讚!〜vol.1:概要説明〜
ベートーヴェン《交響曲第9番ニ短調》讚!〜vol.2:第1楽章〜
ベートーヴェン《交響曲第9番ニ短調》讚!〜vol.3:第2楽章〜
ベートーヴェン《交響曲第9番ニ短調》讚!〜vol.4:第3楽章〜
ベートーヴェン《交響曲第9番ニ短調》讚!〜vol.5:第4楽章・”歓喜の歌”
下の写真は、伝説的名盤として有名なフルトヴェングラーのバイロイト盤LPのジャケットです。
ウィルヘルム・フルトヴェングラー指揮/バイロイト祝祭管弦楽団&合唱団EMI(Angel)EAC-60027

では来週もまた金曜日の18:00〜19:00にお会いしましょう。