カテゴリー上方クラシック倶楽部, 番組情報
クラシック音楽においては東京以上の歴史と伝統を持ち、時代を代表する音楽家、作曲家を
数多く輩出、音響/設備の良いホールや、瀟洒なサロンが点在する関西の音楽界。
しかし、昨今のメディアの東京偏重の弊害で、その魅力、情報が全国に
伝わりにくいのが現状です。そこに一石を投じ、関西の音楽シーンの「推し」を
国内外に広く紹介するレギュラープログラムが「上方クラシック俱楽部」。
関西のクラシック界の新しい情報、おすすめの音楽家や演奏会、コンサート・ホールや サロンを、
ゲストも交えながら、毎月1回のペースでお届けします。
プレゼンターの崎本哲生さんはクラブ関西の専務理事にして、アマチュアオーケストラで
コンサートマスターを歴任したヴァイオリン奏者、音楽愛好家。
9月のゲストは、神戸市元町通の呉服屋「丸太や」(1900年創業)のご店主にして
アマチュア・ヴァイオリニストとしても精力的に活動されている
三木弦さんをお迎えしました。
忙しいお仕事の合間を縫って、丸太やの2階のギャラリー「響」を会場に
定期的にコンサートを開催されている三木さん、
レパートリーの開拓にも大変熱心な方です。
ユニークな活動を続ける三木さんにたっぷりお話を伺うことが出来ました。
お楽しみに!
《楽曲》
1、店頭コンサートでJ.S.バッハ「主よ人の望みの喜びよ」
三木弦(ヴァイオリン)、三木成美(ヴィオラ)、三木久雄(チェロ)
2,フランク・ブリッジ:ピアノ五重奏曲ニ短調から第1楽章
薮内 弥侑(ピアノ)、諏訪園 明史/三木 弦 (ヴァイオリン)、
周藤 英(ヴィオラ)、藻川 正和(チェロ)
《ゲスト》
三木弦 (Yuzuru Miki、神戸元町通「丸太や」代表取締役社長/ヴァイオリニスト)
メッセージ
「神戸・元町の老舗呉服屋「丸太や」の店員です。
元町商店街一番街の大丸前入り口から入ってすぐの店先に着物姿で立っていることが多いです。
音楽が好きで、バイオリンもかじっています。
年2回の丸太やフレンドリーコンサートで演奏もします」。
コンサート情報はコチラ!
http://marutaya.com/cont01/cont01-01-2025.htm
《プレゼンター・プロフィール》
崎本哲生(Tetsuo Sakimoto) 音楽愛好家
1956年、大阪府生まれの倉敷育ち。
ヴァイオリンを始めたのが3歳、挫折したのが6歳。再び目覚めたのが13歳。
その後、同志社交響楽団、宝塚市交響楽団などのコンサートマスターを歴任。
2011年より現在までヴァイオリンを馬渕清香氏に師事。
2018年京阪ホールディングス株式会社を定年退職。
2016年~2023年まで東京大学未来ビジョン研究センター客員研究員。
2024年6月、「クリエイティブジャパン戦略」(白桃書房)を共著で出版。
その中で「アートは未来創造のキーワードとなるか」をテーマとした論考を寄稿。
現在、一般社団法人クラブ関西専務理事。
《プレゼンターからのメッセージ》
最近、ふと考えたんです。
「感心する演奏」と「感動する演奏」って、何が違うんだろう?って。
どちらも素晴らしい体験だけど、感心は“頭”で理解すること。しかし、感動はもっと深いところ――
潜在意識にふれる何かがあるような気がします。
この頃ハマっているのが、ボロディンの弦楽四重奏曲第2番の第1楽章。
あの旋律に身をゆだねていると、まるで大草原に抱かれているような、
すべてが許されるような感覚になります。
うまく言葉にできないけれど、心の奥から何かがふわっと湧いてくる。
ああ、これが“感動”なのかも…って思うんです。
音楽って不思議ですね。
同じ風景を見ても、どんな音楽を聴いているかで、感じ方がまるで変わってくる。
つまり音楽は、私たちの潜在意識にある「フィルター」をすっとすり替えてくれるものなのかな?と。
たとえばエルガーの《威風堂々》を聴けば、心がしゃんとして、少し勇気が湧いてくる。
逆にラフマニノフの《ヴォカリーズ》を聴くと、胸の奥からやさしさや切なさが
静かに立ち上ってくる…。
こうした音楽体験を、丁寧に言葉にしてみると、ただの「感想」じゃなくなるんですよね。
感想が感想を呼び、誰かの心にふっと灯りをともすような、
そんな小さなつながりが生まれることもあるのではないかと。
音楽と言葉。
どちらも、目には見えないけれど、心の風景を分かち合うための大切な手段なんだな、
と改めて感じています。
そしてきっと、本当に大切なことは、いつも“言葉を超えたところ”にある
――そんな気がしています。