カテゴリーザ・コンテンポラリー, 番組情報
新番組「松尾祐孝 ザ・コンテンポラリー」のプレゼンター、松尾祐孝(マツオ マサタカ)です。
毎週金曜日の18:00〜19:00にお耳にかかります。どうぞよろしくお願いします。
10月31日=第17回のテーマは<秋>です。

日本は、春夏秋冬の四季の巡りが最も鮮明な気候風土を持っていると言われています。 その中でも「秋」には一際爽やかなイメージがあるのではないでしょうか。「秋晴れ」「芸 術の秋」「食欲の秋」「中秋の名月」などという言葉が思い起こされます。「春夏秋冬」と言うと、クラシック音楽の中で考えると、まず、ヴィヴァルディの「四季」を思い浮かべる方も多いことでしょう。「四季の巡り」に強い関心と共感を持つ日本人 にとって、この作品には親しみが生まれるのでしょう。本場ヨーロッパよりも日本で圧倒 的に人気が高いのだそうです。
このヴィヴァルディの「四季」は、タイトルから想像すると、第一楽章が「春」、第二楽 章が「夏」、第三楽章が「秋」、第四楽章が「冬」という四楽章構成を予想される方もいる かもしれません。しかし、実際は、「春」「夏」「秋」「冬」それぞれが3楽章構成を要する、 バロック時代の典型的な器楽作品様式の一つ、合奏協奏曲なのです。つまり、「四季」全曲 を聴くと、合奏協奏曲を4曲聴いたことになるのです。
ヴィヴァルディやバッハが活躍したバロック時代の頃、クラシック音楽の世界では、同 種の作品6曲をワンセットにして発表する、あるいは献呈する、と言う習慣がありました。 ですから、バッハの名曲群を見渡しても、「フランス組曲」「イギリス組曲」「無伴奏ヴァイ オリンソナタ&パルティータ」「ブランデンブルグ協奏曲」などは、全て第1番から第6番 までの6曲を擁する曲集になっています。
ヴィヴァルディの「四季」も、実は4曲のセットではなく、《和声と創意の競演》の総合タイトルの下に6✖️2の12 曲による曲集になっています。協奏曲第1番が「春」であり、 協奏曲第2番「夏」、協奏曲第3番「秋」、協奏曲第4番「冬」、更に、第5番「海の嵐」、 第6番「喜び」と続いて、ここまでの6曲でセットとなっている CD の名盤も存在します。 更に第6番から第 12 番まであり、6曲 x2で全 12 曲の曲集となっているのです。曲集と しての出版は 1725 年と言うことです。勿論、それらは全て、急緩急の3楽章構成を持つ、 当時の協奏曲の楽章構成を持っています。
番組では、そのヴィヴァルディの「秋」を話題の起点として、秋に因んだ作品を紹介していきたいと思っています。また、毎年秋、11月頃を中心に開催されている特定非営利活動法人日本現代音楽協会の音楽祭の今年の開催、《Music of Our Time 2025》のご案内もお話しする予定です。クラシック音楽の長い歴史の延長上に更なる地平を切り拓かんと切磋琢磨している現代音楽界の作曲家の創造に、皆さんも触れてみませんか!。
では、10月31日(金)18時からOTTAVAでお会いしましょう。