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6月19日(木)18:00 「上方クラシック倶楽部」#9 関西クラシックシーンの「今とこれから」を世界に発信!大阪出身、クレモナ在住の弦楽器製作者 谷内陽子さんをお迎えして

カテゴリー上方クラシック倶楽部, 番組情報

クラシック音楽においては東京以上の歴史と伝統を持ち、時代を代表する音楽家、作曲家を
数多く輩出、音響/設備の良いホールや瀟洒なサロンが点在する関西の音楽界。
しかし昨今のメディアの東京偏重の弊害で、その魅力、情報が全国に
伝わりにくいのが現状です。そこに一石を投じ、関西の音楽シーンの「推し」を
国内外に広く紹介するレギュラープログラムが「上方クラシック俱楽部」。                                         
                                                             
関西のクラシック界の新しい情報、おすすめの音楽家や演奏会、コンサート・ホールや サロンを、
ゲストも交えながら、毎月1回のペースでお届けします。                                       
                                                    

プレゼンターの崎本哲生さんはクラブ関西の専務理事にして、アマチュアオーケストラで
コンサートマスターを歴任したヴァイオリン奏者、音楽愛好家。                                                                                                                  

そして6月のゲストは大阪の玉造出身で現在クレモナ在住の
弦楽器製作者の谷内陽子さんです。   

                                                                                                   
谷内さんが弦楽器製作者を志したきっかけ、
イタリア・クレモナの魅力から
ストラディヴァリ研究の最新情報まで、たっぷりとお話を伺いました。                             
                                                
お楽しみください。                                        
                                                          

《楽曲》                                                        
                                                         

1,サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン Op.20                                                     
          ヤッシャ・ハイフェッツ(ヴァイオリン)
           RCAビクター交響楽団
          ウィリアム・スタインバーグ(指揮)

                                 

2, ヴィヴァルディ:「四季」 ヴァイオリン協奏曲 ト短調「夏」 Op. 8, No. 2, RV 315                    
          カタリナ・アンドレアソン (ヴァイオリン)                                   
          ビョルン・ガフヴァルト   (チェンバロ)                                    
          スウェーデン室内管弦楽団

                     
 

 

【ゲスト・プロフィール】                                              
                                                            
 谷内陽子(Yoko Yachi)弦楽器製作者                                         
                                                         
 高校時代よりオーケストラでバイオリンを始める。                                        
 大学卒業旅行で訪れたイタリア・クレモナに「運命」を感じたが、いったん会社勤務。                        
 情熱を捨てきれず2003年にクレモナ移住、ヴァイオリン職人としてキャリアをS.Coniaの工房にて                     
 開始と同時にクレモナ弦楽器製作学校に入学、2007年卒業。同年クレモナ弓製作コース修了。                      
 2005年よりM.Osio工房に学び現在に至る。(同工房にてマスタークラス修了)                           
 2007年イタリア国内製作コンクール・ヴァイオリン部門優勝。(日本人女性初の製作コンクール優勝)                   
 2009年クレモナ国際ヴァイオリン製作コンクール(通称トリエンナーレ)                              
 ヴァイオリン、チェロ部門でディプロマ取得。                                        
 2014-15年カルテットを製作、現在岐阜サラマンカホール『清流コレクション』として音楽家たちに                           
 貸与されている。                                                     
 2018-19年 銀座山野楽器とコラボレーションでヴァイオリン4連作『花鳥風月』を製作、                     
 好評につき2020年第2弾を発表。                                                          
 製作楽器はヨーロッパ、日本のプロ・アマチュア・学生が愛用。                                  
                                                             
                                                            
 

【プレゼンター・プロフィール】                                                   

崎本哲生(Tetsuo Sakimoto) 音楽愛好家 

1956年、大阪府生まれの倉敷育ち。
ヴァイオリンを始めたのが3歳、挫折したのが6歳。再び目覚めたのが13歳。
その後、同志社交響楽団、宝塚市交響楽団などのコンサートマスターを歴任。
2011年より現在までヴァイオリンを馬渕清香氏に師事。
2018年京阪ホールディングス株式会社を定年退職。
2016年~2023年まで東京大学未来ビジョン研究センター客員研究員。
2024年6月、「クリエイティブジャパン戦略」(白桃書房)を共著で出版。
その中で「アートは未来創造のキーワードとなるか」をテーマとした論考を寄稿。                      
現在、一般社団法人クラブ関西専務理事。                                      
                                                        
《プレゼンターからのメッセージ》                                        
                                                                    
 最近、ふと考えたんです。
「感心する演奏」と「感動する演奏」って、何が違うんだろう?って。
どちらも素晴らしい体験だけど、感心は“頭”で理解すること。しかし、感動はもっと深いところ――
潜在意識にふれる何かがあるような気がします。

この頃ハマっているのが、ボロディンの弦楽四重奏曲第2番の第1楽章。
あの旋律に身をゆだねていると、まるで大草原に抱かれているような、
すべてが許されるような感覚になります。

うまく言葉にできないけれど、心の奥から何かがふわっと湧いてくる。
ああ、これが“感動”なのかも…って思うんです。

音楽って不思議ですね。

同じ風景を見ても、どんな音楽を聴いているかで、感じ方がまるで変わってくる。
つまり音楽は、私たちの潜在意識にある「フィルター」をすっとすり替えてくれるものなのかな?と。

たとえばエルガーの《威風堂々》を聴けば、心がしゃんとして、少し勇気が湧いてくる。
逆にラフマニノフの《ヴォカリーズ》を聴くと、胸の奥からやさしさや切なさが
静かに立ち上ってくる…。

こうした音楽体験を、丁寧に言葉にしてみると、ただの「感想」じゃなくなるんですよね。

感想が感想を呼び、誰かの心にふっと灯りをともすような、
そんな小さなつながりが生まれることもあるのではないかと。

音楽と言葉。

どちらも、目には見えないけれど、心の風景を分かち合うための大切な手段なんだな、
と改めて感じています。

そしてきっと、本当に大切なことは、いつも“言葉を超えたところ”にある
――そんな気がしています。