カテゴリー上方クラシック倶楽部, 番組情報
クラシック音楽においては東京以上の歴史と伝統を持ち、時代を代表する音楽家、作曲家を
数多く輩出、音響/設備の良いホールや瀟洒なサロンが点在する関西の音楽界。
しかし昨今のメディアの東京偏重の弊害で、その魅力、情報が全国に
伝わりにくいのが現状です。そこに一石を投じ、関西の音楽シーンの「推し」を
国内外に広く紹介するレギュラープログラムが「上方クラシック俱楽部」。
関西のクラシック界の新しい情報、おすすめの音楽家や演奏会、コンサート・ホールや サロンを、
ゲストも交えながら毎月1回のペースでお届けします。
プレゼンターの崎本哲生さんはクラブ関西の専務理事にして、アマチュアオーケストラで
コンサートマスターを歴任したヴァイオリン奏者、音楽愛好家。
そして5月のゲストは弦楽四重奏 カルテット ソラーレの皆さんです。
関西を拠点に活躍する4人の弦楽器奏者によって2018年に結成された
カルテット ソラーレ(Quartetto SOLARE)
メンバーは
馬渕清香、坂茉莉江 (ヴァイオリン)
佐本博子 (ヴィオラ)
小棚木優 (チェロ) の皆さん。
毎回コンサートに太陽系の惑星の名前を冠するなど
ユニークな活動を続けている弦楽四重奏団。
6月には「火星」を控えている4人の皆さんに
たっぷりお話を伺うことが出来ました。
お楽しみください。
《楽曲》
1,モーツァルト:弦楽四重奏曲第19ハ長調K.465「不協和音」~第1楽章
2, メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲第2番イ短調Op.13~第2楽章
2024年7月9日
豊中市立文化芸術センター小ホール
Quartetto SOLARE 地球(アース)」でのライブ録音
3,ベートーヴェン:弦楽重奏曲第1番ヘ長調Op.18-1~第4楽章
2023年7月7日
豊中市立文化芸術センター小ホール
「Quartetto SOLARE 金星(ヴィーナス)」でのライブ録音
演奏:カルテット ソラーレ
【プレゼンター・プロフィール】
崎本哲生(Tetsuo Sakimoto) 音楽愛好家
1956年、大阪府生まれの倉敷育ち。
ヴァイオリンを始めたのが3歳、挫折したのが6歳。再び目覚めたのが13歳。
その後、同志社交響楽団、宝塚市交響楽団などのコンサートマスターを歴任。
2011年より現在までヴァイオリンを馬渕清香氏に師事。
2018年京阪ホールディングス株式会社を定年退職。
2016年~2023年まで東京大学未来ビジョン研究センター客員研究員。
2024年6月、「クリエイティブジャパン戦略」(白桃書房)を共著で出版。
その中で「アートは未来創造のキーワードとなるか」をテーマとした論考を寄稿。
現在、一般社団法人クラブ関西専務理事。
《プレゼンターからのメッセージ》
最近、ふと考えたんです。
「感心する演奏」と「感動する演奏」って、何が違うんだろう?って。
どちらも素晴らしい体験だけど、感心は“頭”で理解すること。しかし、感動はもっと深いところ――
潜在意識にふれる何かがあるような気がします。
この頃ハマっているのが、ボロディンの弦楽四重奏曲第2番の第1楽章。
あの旋律に身をゆだねていると、まるで大草原に抱かれているような、
すべてが許されるような感覚になります。
うまく言葉にできないけれど、心の奥から何かがふわっと湧いてくる。
ああ、これが“感動”なのかも…って思うんです。
音楽って不思議ですね。
同じ風景を見ても、どんな音楽を聴いているかで、感じ方がまるで変わってくる。
つまり音楽は、私たちの潜在意識にある「フィルター」をすっとすり替えてくれるものなのかな?と。
たとえばエルガーの《威風堂々》を聴けば、心がしゃんとして、少し勇気が湧いてくる。
逆にラフマニノフの《ヴォカリーズ》を聴くと、胸の奥からやさしさや切なさが
静かに立ち上ってくる…。
こうした音楽体験を、丁寧に言葉にしてみると、ただの「感想」じゃなくなるんですよね。
感想が感想を呼び、誰かの心にふっと灯りをともすような、
そんな小さなつながりが生まれることもあるのではないかと。
音楽と言葉。
どちらも、目には見えないけれど、心の風景を分かち合うための大切な手段なんだな、
と改めて感じています。
そしてきっと、本当に大切なことは、いつも“言葉を超えたところ”にある
――そんな気がしています。